緊急停止命令申立の不思議

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 このブログを始めたばかりなのに、2本目の記事でいきなり時事ネタを扱うのも如何なものかと思いましたが、何となく釈然としないところがありましたので書かせていただきます。

 楽天市場を運営する「楽天」が、3月18日から、同一ショップ内での購入金額が3,980円以上になる場合、送料無料のサービスを開始するとしていることについて、公正取引委員会は、この措置が独占禁止法に抵触する恐れがあるとして、東京地裁に対し緊急停止命令を出すよう求める申立を行ったらしいのです。

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 報道等によれば、楽天側が出店者に対し、商品価格を送料込みの代金体系で表示するよう求めたことが、「優越的な立場を利用した不当な要求にあたる疑いがある」というのが申立の理由のようです。

 私は、法律的にも実務的にもこうしたネット販売事業の門外漢ですので、そこにどのような背景があるのかは知る由もありませんが、楽天市場で買い物をしたこともありませんし、そもそもネットを通じた物品購入の習慣がありませんので、全く公平にこの問題を見ることができる立場にあります。

 報道内容等を素直に読めばこのようになります。

 ①従来の課金方法:商品代金+送料 → 購入者が負担

 ②新規の課金方法:代金(商品代金+送料)→ 購入者が負担

 実態として何も変わりませんよね。ネット上には、あたかも出店者が送料を負担することになると思い違いして批判しておられる方もいるようですが、そうではありません。それなのに、なぜ騒ぎになっているのかが不思議だと感じたのです。

 一つ変わることがあるとすれば、出店者が表示する商品価格は当然割高になりますから、表示価格ベースで他のサイトと比較した場合、競争力が削がれるという懸念はあるかも知れません。でも、楽天市場のような大きな市場のシステム変更が、料金比較サイトなどに反映されないはずもないでしょう。

 そのように考えていくと、楽天はなぜわざわざこんな変更を、種々軋轢を産みながら進めようとしているのだろうという新たな疑問も湧いてきます。どっちみち同じならやらなくてもいいじゃん。

 そこには、私などにはわからない問題がきっとあるはずなのですが、各報道機関は、公取委楽天の対立が緊急停止命令の申立に至った、という構図にだけ注目して問題を矮小化し、井戸端会議にネタを提供して終わり、といういつものパターンに今回も陥っているため「つまらない」報道になっているように感じます。

 この報道を目にして疑問を持った人は自分で調べてね、私たちは報道したいことだけ報道するのが仕事だから…ってことでしょうか?

 だったらわざわざ報道しなくていいよ。